研究課題
τisoform特異抗体を用い、進行性核上性麻痺の黒質病変を検討した。4%パラフォルム48時間固定材料が得られた、病理学的に典型的なPSP13例(80.2±8歳)、疾患コントロールとしてアルツハイマー病(AD)5例(83.4±5.2)、正常コントロールとしてτ・aシヌクレイン・Aβ沈着のいずれもが軽微である5例(76.6±11歳)を採用した。パラフィン包埋6μm厚連続切片を用い、抗リン酸化t (AT8)、4 repeat (R)t (RD4)、3Rt (RD3)抗体を用い、Ventana NX20自動免疫染色装置により染色し、Gallyas-Braak鍍銀染色と比較した。症例の神経病理学的診断は、高齢者ブレインバンクプロトコール(Saito Y et al J Neuropath Exp Neurol 2004)に従った。PSP群黒質では、RD4陽性の神経細胞、グリア細胞、微細細胞突起が多数描出され、AT8に一部陽性、RD3に陰性であり、PSP型神経原線維変化(PSP-NFT)とglial tangle病変と解釈された。その他、嗜銀顆粒(AG) Stage II以上の例では、RD4陽性AGの混在を全例に認めた。BraakのNFT stage III以上の例では、RD3、RD4、AT8陽性のAlzheimer型神経原線維変化(AD-NFT)が少数ながら並存した。AD群ではAD-NFTが主体で、PSP例と同様一部にRD4陽性のAGの併存をみた。AT8陽性、RD4陽性、RD3陰性の神経細胞、グリア細胞を一部に認めたが、それぞれpretangle、thorn-shaped astrocytesに相応し、PSP型変化と形態的に鑑別可能であった。以上より、RD4免疫組織化学でPSPの黒質特異病理が検出でき、PSP病変のスクリーニングに、特異度・感度ともに高く、有用であることが示された。(795字)
すべて 2005
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Acta Neuropathol 109
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J Neuropathol Exp Neurol 64
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