研究課題/領域番号 |
17025056
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研究機関 | 国立長寿医療センター(研究所) |
研究代表者 |
田平 武 国立長寿医療センター, (研究所), 所長 (80112332)
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研究分担者 |
高橋 慶吉 国立長寿医療センター, (研究所)・血管性認知症研究部, 部長 (40117148)
原 英夫 国立長寿医療センター, (研究所)・血管性認知症研究部, 室長 (00260381)
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キーワード | アルツハイマー病 / ワクチン / 免疫 / アミロイド / 老人斑 |
研究概要 |
アルツハイマー病の中核的病態と考えられる老人斑は、βアミロイドの沈着により形成される。老人斑にはミクログリアが集積し、βアミロイドに対する原始免疫反応の結果、組織障害が生じると考えられている(悪い免疫反応)。一方、凝集AβによるB細胞免疫応答は、オプソニン効果を有する抗体がβアミロイドに結合し、Fc受容体を介してミクログリアに取り込まれるので、免疫療法(ワクチン療法)の可能性が開かれてきた(良い免疫反応)。アルツハイマー病ではβアミロイドに対する抗体反応が低く抑えられているか、あるいはミクログリアの貪食機能がおさえられている為に、良い免疫反応が十分起こらない結果、病気を発症すると考えられる。老人斑の周辺をとりまくアストロサイトは、ミクログリアの貪食能を抑える因子を出しているとの考えもある。本研究は、良い免疫反応を促進するメカニズムと物質を解明し、ワクチン療法に代わる安全で新しい治療法を開発することを目的とする。方法としては、ミクログリアがβアミロイドを貪食するときにオプソニン効果を発揮する小分子物質又は人工オプソニンを作製し、新規治療法の開発を目指す。また、アストロサイト由来貪食抑制因子を明らかにし、それを解除する方法を探索し、治療法開発を目指す。さらに、ワクチン接種により、有効な抗体とされたTAPIR抗体のエピトープを明らかにする為に、ファージ抗体ライブラリーをスクリーニングし、有効抗体を見出す。 本年度の成果として、ファージ抗体ライブラリーのスクリーニングにより4つの陽性クローンを得たので、ヒト型抗体を作製中である。また、ミクログリアによるAβの取り込みはAβ抗体で促進され、アストロサイト由来因子で抑制されることを明らかにした。さらに、人工オプソニンとの開発ではAβ結合部位とFcを結合したcDNAをヒト骨髄腫細胞に導入し、培養上清を回収し、Aβとの結合をビアコアで確認することができた。
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