研究課題/領域番号 |
17026005
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大澤 匡範 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助手 (60361606)
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研究分担者 |
嶋田 一夫 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 教授 (70196476)
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キーワード | 翻訳終結因子eRF3 / ポリA結合蛋白質(PABP) / NMR / mRNA分解酵素 / 相互作用解析 / 構造生物学 |
研究概要 |
(1)PABPの多量体化についての解析 PABPはRNA認識モチーフ(RRM)、蛋白質結合ドメインPABC、およびそれらを繋ぐリンカー領域から構成される蛋白質である。これまでに、PABP一分子はRRMにおいて24塩基のポリAを認識するが、このポリA結合型PABPは、ポリA非結合型PABPと相互作用し多量体化していることが報告されている。この多量体化状態を熱力学および立体構造の見地から明らかにするため、核磁気共鳴(NMR)、RRMとリンカー領域がポリA依存的に相互作用することを明らかにした。また、表面プラズモン共鳴(SPR)を用いて、A48に結合した2分子のPABPの間には相互作用があることを示した。これらのことから、ポリA上で隣り合うPABP同士は一方の分子のRRMと他方のリンカーとの相互作用により多量体化していることが強く示唆された。今後、NMRを用いて多量体化の原因となる領域をアミノ酸残基レベルで同定する。現在、RRMおよびリンカーのNRシグナルの帰属を推進している。 (2)PABP依存性ポリA分解酵素とPABPの相互作用解析 遺伝情報発現の最終段階である「翻訳」過程において、蛋白質の発現量はmRNAの寿命によって制御される。真核生物におけるmRNA分解の最初の段階は、mRNA3'末端のポリAの分解であるが、これを担うポリA分解酵素はポリAに結合しているPABPによりリクルートされる。本研究において、a)PABP依存性ポリA分解酵素の各サブユニットを大量発現・精製する方法を確立し、b)各サブユニットのサブユニット間相互作用およびPABPとの結合親和性を熱力学的に解析した。また、c)PABP結合サブユニットについては立体構造解析を推進している。
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