(1)先天性筋無力症候群の原因遺伝子のひとつであるアセチルコリンレセプターαサブユニット遺伝子(CHRNA1)のIVS3-8G>A塩基置換がpolypyrimidine tract binding protein(PTBP1)との結合を破断し、下流のexon P3Aがsplicing時に認識をされ、翻訳産物が機能を有さないexon P3A(+)mRNAのみを産生することを実証した。さらに、分化した筋細胞はPTBP1を産生しないという予備データを得て、PTBP1がCHRNA1遺伝子のシナプス特異的発現をコントロールする因子である可能性の実験的検証を行っている。 (2)痙性対麻痺の原因遺伝子のひとつであるSPG4の33個の一塩基置換に対して、exonic splicing enhancer破断変異のスクリーニングを行った。3種類の変異は完全なexon skippingの原因となり、10種類の変異は不完全ながらexon skippingを起こしていた。前記3種類の変異に対して、破断されるシス因子と、それに結合するトランス因子の同定を開始している。 (3)Novartis社より2432種類、Dharmacon社より253種類のsiRNAデータを譲り受け、最小2乗法による線形モデリングが既存のsiRNA予測アルゴリズムよりも優れていることを実証した。さらに、siRNAのstacking energyが不安定であることが、有効なsiRNAを各種予測アルゴリズムによって予測する上で重要であることを同定した。これらは実験的な裏づけを得ており、さらに、予測アルゴリズムの改善を行っている。
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