本研究では、モデル生物線虫C.elegansを用いて、rRNA前駆体プロセシングに必須な因子であるRBD蛋白質の機能解析を足掛かりとし、rRNA前駆体プロセシング因子が中心的役割を担うリボソームの生合成制御システムの解明を最終的な目標とする。 RBD-1がどのようにrRNA前駆体プロセシング反応を制御しているかの解明は、本研究課題の最終目標達成に必須である。そこで、平成17年度はRBD-1の機能ドメインを探索するin vivo実験系の構築を試みた。具体的には母性由来rRNAと受精卵中で新たに転写されプロセシングされたrRNAとをin situ hybridization法で視覚的に区別する系の構築を試みた。そして、線虫rRNA遺伝子の発現ユニットをベクターに組み込み、これを保持する卵を作れない雄化した変異体を作成した。そして、この線虫と、精子を作れない雌化した線虫を掛け合わせることにより、標識されたベクター由来プローブを用いて、未受精卵より持ち込まれたrRNAと、受精卵中で新たに転写されたrRNAとを区別可能とした。この系の確立によりRBD-1変異体の系統的な機能解析が可能になった。さらに、LNA(Locked Nucleic Acid)プローブを用いたNorthern hybridization法によるrRNA前駆体解析系を構築し、これまで不可能であった特異性が高くかつ感度の良いrRNA前駆体解析を可能なものとした。これらとは別に、未同定であるC.elegansのU3 snoRNAの同定を試み、現在クローニング中である。
|