研究課題
実験計画に従って、1)がん化がスプライシングに与える影響の解析、2)筋強直性ジストロフィーにみられる異常スプライシングについて検討した。1.がん組織で特異的におこる選択的スプライシングを探索した。21種の遺伝子においてがん組織におけるスプライシングパターンに変化がみられ、がん化がこれらのスプライシングに影響を与えているものと思われた。そのうちの2例(トロポミオシン1α、インテグリンβ4)についてはエクソントラッピングによる解析を行い、選択的スプライシングを受けるエクソンの周辺のイントロン部位に、それらのスプライシング制御エレメントが存在することがわかった。2.筋強直性ジストロフィー(DM)はDMPK(dystrophia myotonica protein kinase)遺伝子の3'非翻訳領域に存在するCTGの3塩基繰り返し配列が異常伸長するトリプレット病のひとつである。病気の発症にはDMPK遺伝子転写産物のCUGリピートにスプライシング制御因子がトラップされて、本来のスプライシング機能が障害され特定遺伝子の異常スプライシングを起こすことがわかってきている。今回、患者筋組織から筋小胞体Ca ATPase 1(SERCA1)mRNAの異常スプライシングがあることがわかり、そのスプライシングのメカニズムについて詳細に検討した。その結果、SERCA1についてはエクソン22の選択的スプライシングがmuscleblind(MBNL)蛋白質により制御されており、DM患者ではMBNLの機能が阻害されてエクソン22がスキップするスプライシングを起こすことがわかった。また、MBNLのスプライシングの制御にはSERCA1のイントロン22内に存在するMBNL特異的結合部位があることも判明した。以上の成果はMBNLの機能を制御することでDMの新しい治療法の開発につながる可能性を示唆する。
すべて 2006 2005
すべて 雑誌論文 (5件)
J Neurochem. 96
ページ: 1090-1100
Neurosci Lett. 393
ページ: 102-107
Nature Cell Biology 7(2)
ページ: 186-194
Biochem Biophys Res Commun. 331(4)
ページ: 1146-1153
Biochem.Biophys.Res.Com. 334
ページ: 23-29