研究概要 |
リボソーム生合成はおもに核小体で行われ、rRNAを中心としたネットワークにより、膨大な数の構成成分と調節因子が時空間的に相互作用して超高分子リボソームを作り出している。rRNAの転写、修飾およびプロセシング、蛋白質とのアセンブリ、核小体から核質、さらに細胞質への輸送という複雑な過程を経る。本研究では、rRNA前駆体のプロセシングとリボソームサブユニットアセンブリに関与する調節因子、特にEbp2pとRrs1pについて詳細に解析し、それら因子を介した、rRNAの転写、rRNAのプロセシング、サブユニットの核外輸送など、各反応過程間の連携について解析している。今年度の成果は以下の通りである。 PCRによりランダムに変異を導入して得た温度感受性rrs1変異株にUV照射し、合成致死変異株を取得した。この原因遺伝子は5S rRNA前駆体のプロセシングに機能をもつRNaseをコードするREX1であった。60Sリボソームサブユニットのアセンブリの欠陥が合成致死を引起こしていることを示した。変異株において、Rex1pの高度に保存された領域にアミノ酸置換を生じており、その結果、野生株より長い未成熟の5S rRNAが蓄積していた。さらに、Rrs1pがリボソーム蛋白質L11,L5と相互作用することを示し、Rrs1pがL11およびL5-5S rRNA複合体をリボソームサブユニット前駆体へリクルートするというモデルを提出した。(発表論文Nucleic Acids Res. 33:4553-4562)
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