研究概要 |
最近、RNAもDNAと同様に修復されることが明らかとなったが、RNAの異常と細胞周期の進行がどのようにして制御されているのかは全く未解明である。多くのRNAスプライシングの変異株が細胞周期のG2期に停止することが知られている。さらに、イントロンを分解する酵素が失活した場合もG2期からM期への進行に大きな障害が生じることも明らかにされている。しかし、どのような機構で細胞周期が停止しているのか明らかにされていなかった。そこで、RNAスプライシング変異株において細胞周期が停止しない変異株をスクリーニングし、カゼインキナーゼ2,wee1とrad24変異を同定した。BタイプサイクリンであるCdc13を過剰発現させても細胞周期を進行させることができた。すなわち、RNAスプライシングに異常が生じてもCdc2キナーゼが活性化されればG2期停止を解除させることができた。しかし、既知のDNA損傷のチェックポイント機能が失われても細胞周期は停止したままであった。これはRNA転写後調節と細胞周期の連携が新しいチェックポイント機構により制御されている重要な手がかりであると考えられる。また、スプライシング異常によりCdc13タンパク質の量が低下していたことから、Cdc13タンパク質の量の調節がこの細胞周期制御機構の重要な制御機構になっていると考えられる。
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