研究課題/領域番号 |
17026036
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研究機関 | 国立遺伝学研究所 |
研究代表者 |
柴原 慶一 国立遺伝学研究所, 総合遺伝研究系, 助教授 (20263098)
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研究分担者 |
小野 達也 国立遺伝学研究所, 総合遺伝研究系, 非常勤研究員 (50419850)
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キーワード | ヘテロクロマチン / DDM1 / non-coding RNA / DNAメチル化 / リモデリング因子 |
研究概要 |
ArabidopsisやマウスのDDM1遺伝子欠損個体では、ゲノムの広範な領域でDNAのメチル化レベルが低下する。DDM1蛋白は、SWI/SNF型のATPaseドメインをもつ因子であるが、DNAのメチル化及びヘテロクロマチン形成に関る作用機序は不明である。我々は、ヒトDDM1(hDDM1)の蛋白複合体精製過程で、hDDM1がRNase感受性分子を含む高分子複合体を形成する予備実験結果を得て、hDDM1とRNA分子が連関してクロマチン形成に関与する可能性を提案し当該研究課題を開始した。当初は、エピトープタグ-hDDM1蛋白を恒常的に発現するヒトHeLa細胞の細胞株抽出液中より、hDDM1複合体の蛋白構成因子とRNase感受性分子の精製、同定を試みたが、様々な要因により成功には至らなかった。 そこで、遺伝子の標的組換えが極めて効率よく起こるヒトPre-B細胞Nalm6において、当初の可能性を追求することにした。現在までに、hddm1-/-細胞の樹立に成功し、その細胞株においては繰り返し配列等のDNAメチル化レベルが低下していることを観察している。今後、テトラサイクリン遺伝子発現誘導系を利用し、hDDM1蛋白の発現を人為的に消失させた後、hDDM1蛋白の消失に伴い、DNAメチル化、siRNAの蓄積、ヒストンの修飾、ヘテロクロマチンの形成が、経時的に異常を示していく様子を観察することで、hDDM1を介したヘテロクロマチン形成機序の解明の足がかりを得ることを目指す。さらに、このNalm6細胞(hDDM1蛋白の発現がHeLa細胞に比べて有為に多い)を用い、hDDM1蛋白複合体の精製及びRNase感受性分子の実体の解明を再度試みたい。
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