研究課題
頂端分裂組織の新形成について、シロイヌナズナの温度感受性突然変異体(srd2、rid1、rid3、rpd2、rgd3など)を用いた分子遺伝学的解析を行い。次の結果を得た。1.変異体の表現型によれば、SRD2とRID1はともに脱分化(増殖能獲得)や頂端分裂組織の構築に関与する。SRD2はsnRNA転写活性化に働くことがすでにわかっていたが、今年度はRID1が酵母のPrp22に似たDEAH型RNAヘリカーゼをコードすることを明らかにした。Prp22がプレmRNAスプライシングに作用すること、snRNAの主要な機能の一つがスプライシングであることから、脱分化と分裂組織構築に共有される素過程はスプライシング活性の増大であると推測された。また、側根形成過程を詳しく調べた結果、根原基の完成に伴って通常は細胞分裂活性が一旦低下し、その後根端分裂組織に限定された細胞分裂に切り替わるべきところ、srd2変異体では分裂活性が低下しないまま持続し、分裂組織が正しく構築されないことなどが判明した。2.rrd1、rrd2、rid4はいずれも、制限温度下で細胞増殖が不活発になり、帯化根を生じやすいという特徴を有する。このうちrrd1について解析を進め、側根形成においては原基形成初期のRRD1機能の不全が細胞増殖域の拡大をもたらすことを示した。また、ポリA特異的リボヌクレアーゼ様タンパク質をコードする、At3g25430に、rrd1の温度感受性の原因と思われるナンセンス変異を見出した。3.脱分化や基本的な細胞増殖への影響は軽微で、不定根形成とシュート再生を強く阻害する温度感受性変異rid3、てrpd2、rgd3に関しては、シュート頂分裂組織の構築に注目して解析を行っている。今年度はRGD3遺伝子の同定に取り組み、TBP結合因子様タンパク質をコードするAt3g54280がRGD3であることを突き止めた。
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Plant Cell, Tissue and Organ Culture 87・1
ページ: 17-25