研究概要 |
DNAマイクロアレイ解析を用いたリン酸リレー依存的なサイトカイニン初期誘導性遺伝子群の検索を行った結果、(1)葉の形態形成に関わるAS2ファミリ-に属するASL9(At1g16530)、(2)光応答性GATA型Zn-フィンガー転写因子であるCGA1(At4g26150)、(3)単一のSANT/Mybドメインを持つ、RADI1(At2g21650)を同定した。また、B型ARRを対象に、T-DNA挿入変位をもつarr1、arr10、arr12、arr13、arr20、arr21などの変異体を確立し、これらの変異植物体に関して、サイトカイニンによる根の伸長阻害、カルス形成におけるシュート形成などを指標に比較解析した結果、特にARR1、ARR10、ARR12のコンビネーションがこれらのサイトカイニン応答に正に働く制御因子として深く関与していることが明らかとなった。 シロイヌナズナの中心振動体の分子モデルとして、Myb型転写因子CCA1、LHYとPRR因子であるPRR1/TOC1との間で形成される正と負の転写制御フィーッドバックループが提唱されている。しかし、他のPRR因子(PRR9・PRR7・PRR5・PRR3)の単独変異も概日リズムや開花制御に影響を与えることから、これらPRR因子も時計機構に重要な働きをしているとことが示唆されている。そこで、各種二重欠損株(prr5-11/prr7-11,prr5-11/prr9-10、prr7-11/prr9-10など)を作成し、開花時期制御、胚軸伸長の光感受性、転写の概日リズム等の多面的表現型の解析を行った。その結果、どの二重変異体の解析結果からも、PRR5、PRR7、PRR9が互いに協調的あるいは相補的に機能していることが示唆された。特に、prr5-11/prr7-11/prr9-10三重変異体においては、明暗条件下においても著しい概日リズムの消失が観察された。このことは、PRR5,PRR7,PRR9は互いに相補・協調することにより、時計因子として必須の機能を担っていることを示唆している。
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