研究課題
我々は、イネを短日植物のモデルとして位置づけ、分子遺伝学的解析を行い、光周性花芽形成の分子機構を明らかにしてきている。また、長日植物であるシロイヌナズナの分子機構と比較することで、植物の花芽形成機構がいかに多様性を獲得しているかについて比較生物学的解析も行っている。これら一連の解析の中で、我々は、イネの花芽形成において重要な働きをするEhd1(Early heading date 1)遺伝子を単離し、Ehd1が二成分系で働くと考えられるBタイプのレスポンスレギュレーター(B-RR)をコードしていることを明らかにした(Doi, Izawa et al.2004)。シロイヌナズナのゲノムにはEhd1のオーソログがなく、我々の結果は、短日植物イネの花芽形成に特異的に働く信号伝達系の存在を示唆している。本年度は、Ehd1::lucを導入した形質転換体イネを作出し、その発現パタンを各種栽培条件で確認した。その結果、Ehd1遺伝子が青色光により、誘導を受けるというこれまでの結果を再現する、青色光下でのluc活性の上昇を確認した。面白いことに、赤色光による急性一過的発現上昇に比べて、穏やかな発現上昇を示し、'光信号伝達の違いを表していると考えられる。加えて、Ehd1もHd1もともに欠損している品種、台中65号に、UBQ::ARR1:Ehd1キメラ遺伝子を導入した。形質転換体当代で見る限り、短日条件下で、開花の顕著な促進を確認した。
すべて 2005 その他
すべて 雑誌論文 (3件)
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Light sensing in plants (M.Wada, K.Shimazaki, M.Iino eds.)
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International review of cytology (In press)