研究課題
我々は細胞周期停止によるアポトーシスを誘導してアポトーシスに抵抗性を示す遺伝子断片のスクリーニングを行ったところ、von Hippel-Lindau(VHL)病の原因遺伝子として同定されたVHL癌抑制タンパク質(pVHL)と会合する2種のタンパク質遺伝子の断片が得られた。VHL癌抑制タンパク質はElonginB/C、Cullin2と複合体を形成し、ユビキチンリガーゼとして働くことが明らかとなっている。また、この複合体形成にはVHLタンパク質は前もって分子シャペロンであるHsp70とTRiC/CCTと会合することが必要である。我々が得た遺伝子断片はElonginBとTRiC/CCTのアンチセンスcDNA断片であり、どちらもpVHLを中心としたユビキチンリガーゼ複合体形成に必要なものであり、このことはpVHLを含むユビキチンリガーゼが細胞周期停止によるアポトーシスに関与していることを示唆するのである。我々は既に各種薬剤や細胞周期回転阻害分子であるCDKインヒビターを用いて各種細胞にアポトーシスを誘導する系を確立しており、それを利用して、elonginBのアンチセンスRNAあるいはsiRNA発現細胞において細胞周期停止によるアポトーシスへの影響を検討したところ、アポトーシスが抑制されていた。このことはelonginBが細胞周期停止によるアポトーシスに関与していることを示すものである。さらに、大腸菌を用いてElonginBの組換え蛋白質を大量調製し、それをビーズに固定したカラムを作製してElonginB結合蛋白質を分離した。質量分析により、それらの蛋白質の同定を行った。それらの蛋白質の機能については解析中である。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (2件)
Signal Transduction 6・1
ページ: 54-61
Proc.Natl.Acad.Sci.USA In print