研究概要 |
超好熱性古細菌由来シャペロニンとプレフォルディンによる蛋白質フォールディング機構に関する研究を進め、以下のような成果を得ることに成功した。 1.超好熱性古細菌Thermococcus sp.strain KS-1シャペロニンの2つのサブユニットを連結した変異体の作成と機能解析を行った。野生型αサブユニットのC末端を、4または6残基のリンカーを介して隣接するαサブユニットのN末端側を直接連結した変異体は、タンパク質フォールディング活性が消失したのに対し、2残基のリンカーを介して連結した変異体は弱いながらもフォールディング活性を示した。また、C末端配列をトロンビン認識配列に置換し、2残基のリンカー配列を介して連結した変異体は、トロンビン消化前でも野生型の半分程度のフォールディング活性を示した。連結シャペロニンのフォールディング活性の発現は、リンカーの長さやC末端アミノ酸配列に大きく依存することが明らかとなった。また、トロンビン認識配列を有する連結変異体をトロンビン消化することで、野生型と同等の活性を有するシャペロニンの獲得に成功した。この結果は2型シャペロニンの反応機構解明の重要な手がかりになると考えている。また、連結シャペロニンを用いることにより、サブユニット間の協調機構解明が可能になる。 2.T.sp.strain KS-1から2組のプレフォルディン遺伝子(α1,α2,β1,β2)をクローニングし、配列を決定した。大腸菌内でα及びβサブユニット遺伝子を共発現させ、4種類のPFD複合体(α1-β1,α2-β1,α1-β2,α2-β2)を得た。数種類の基質タンパク質を用いて、各PFD複合体のアレスト活性を比較したところ、複合体により異なる基質認識性を示すことが分かった。またSPRセンサーを利用した相互作用解析から、β1サブユニットを有するPFD複合体がT.KS-1由来βCPNと強く結合することが示された。
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