研究課題
アミロイド病として知られる老人性全身アミロイドーシスや家族性アミロイドポリニューロパシーでは、トランスサイレチンがアミロイド線維となって生体内で蓄積し臓器障害をひき起こす。本研究では、溶液NMRやプロリンスキャン等の手法を用いて、トランスサイレチンがなぜ天然の立体構造を失ってアミロイド線維となりアミロイド病を引き起こすのかについて研究する。1.TTRペプチドに関する研究TTRの105-115残基からなるペプチドフラグメントは、アミロイド線維核が無い条件では可溶化状態で存在する。一方で、同じ溶液条件下においても、あらかじめ作製しておいた微量のアミロイド線維(線維核)を加えると速やかにアミロイド線維となる。本年度は、線結核が無い状態(可溶化状態)でのTTR(105-115)について溶液NMRの手法を用いて立体構造解析を行った。その結果、可溶化状態にあるTTR(105-115)は、αヘリックスやβストランド構造はとっておらずコンパクトな構造になっていることが示された。2.TTRの細胞障害性に関する研究アミロイド病の原因となるTTR変異体を18種類(V20I、S23N、E54K、E61K、S77Y、Y116Sなど)作製し、神経芽細胞種IMR-32に対する細胞障害性について研究した。その結果、E54KE、E61K、S77YおよびY116Sの細胞障害性が特に強いことがわかった。3.プロリンスキャン変異実験野生型TTRはpH2.0の条件下で部分的に変性しアミロイド様凝集物となる。部分的に変性した中間体構造について調べるためにプロリンスキャン変異実験を行った。結果から、アミロイド様凝集物が形成されるには、E Strand、F Strand、およびαヘリックスが重要であることがわかった。
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