研究課題
アミロイドーシスは生理的機能を持つタンパク質が構造変換を受け、微細なアミロイド線維に重合・沈着し生体に障害を与える『タンパク質ホールディング病』の総称である。我々はプリオン病の『異常構造プリオンの伝播』と類似した『アミロイド線維の伝播』がアミロイドーシス発症の重要な要因であることを示してきた。タンパク質の一生の中で、★アミロイド線維形成と生体への沈着と障害、★アミロイド線維様物質の伝播による外部への発症拡大というアミロイドタンパク質が示す破綻的後半生の実体を明らかにするために以下の研究を行った。1)試験管内でのアミロイド線維形成機構の解析:マウスのアミロイドタンパク質であるApoA-II(78アミノ酸)の合成部分ペプチドを用いて線維形成のメカニズムと伝播について解析した。C末近傍(48-65)とN末(1-16)の2つのペプチドが関与するユニークな線維形成機構を明らかにしたが、形成された線維の伝播力は生体から分離した線維にはるかに及ばない。線維形成条件(pH,添加物質)を変えるなど、さらに詳細な解析を行なっている。2)伝播におけるアミロイド線維間クロストーク:モデルマウスを用いてAApoAIIとAAアミロイド線維の、同種モノマーの線維伸長促進効果、異種のモノマーの線維形成阻害効果を明らかした。またAAアミロイド線維形成促進分子として、好中球のMrp14から成る線維の解析を進めた。3)伝播機構および伝播抑制の解析:AApoAIIアミロイド線維の伝播活性を抑制する化学的、物理的方法を解析した。AApoAIIアミロイド線維はプリオンと類似した性質を示し、1pg以下の線維(ソニケーションで活性化後)の静脈投与は、2ヶ月後にアミロイド線維沈着を誘発した。6M塩酸グアニジン、88%蟻酸、1N NaOH+オートクレーブ処理では線維構造が破壊され、伝播が完全に抑制された。
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