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2006 年度 実績報告書

プリオン部分ペプチドが作るオリゴマーの立体構造決定

研究課題

研究課題/領域番号 17028019
研究機関岐阜大学

研究代表者

桑田 一夫  岐阜大学, 人獣感染防御研究センター, 教授 (00170142)

キーワードプリオン / リコンビナント・プリオン / レーザー温度ジャンプ / YAGレーザー / ラマンシフター / 低温変性 / 非指数関数的フォールディング / β-ラクトグロブリン
研究概要

N端の89番目までのアミノ酸残基が取り除かれたPrP^<Sc>は,アミロイドを形成することが知られているが,これと同じ長さのPrP^Cや全長のPrP^Cも,in vitroでアミロイドを形成することが分かった。また,PrP^Cには,αヘリックス領域が3つとβシート領域が2つ,また,PrP^Cで疎水性がもっとも高い疎水性クラスターと呼ばれる領域が存在する。PrP^CからPrP^<Sc>への構造変換における,それぞれの領域の役割に注目してアミロイド線維形成について調べた。その結果,ヘリックスB(アミノ酸172〜194残基)とヘリックスC(200〜227残基)領域のペプチドと,疎水性クラスター(113〜127残基)領域のペプチドが,アミロイド線維を形成した。さらに,ペプチドの種類によって形成されるアミロイド線維の構造と形態がかなり異なっていた。疎水性クラスター領域やヘリックスBのように針状の線維を形成するものもあれば,ヘリックスCのように曲がりくねった凝集体を形成するものもあった。これらは部分ペプチドを使った実験ではあるが,全長PrP^<Sc>の構造も一つではなく,いくつかの構造,形態があることが示唆された。実際,全長のPrP^Cを用いて,in vitroで線維形成について調べると,針のような線維ではなくオリゴマー状の凝集体がよくできた。しかし,条件をしぼれば,細長いアミロイド線維が形成される場合もあり,全長PrP^Cにはいくつかの形態が存在した。さらに,その形態は毒性と関連があると考えられた。
またシリアンハムスターのプリオンのアミロイド線維を核にして,マウスのプリオンでアミロイド線維を作ると,形成される線維はマウス聖ではなくシリアンハムスター型になった。以上の結果から,プリオン病はプリオンのアミロイド線維またはβオリゴマーなどによって伝播し,その凝集体構造の不均一性により,異なるプリオン株が出現するのではないかと考えられた。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2007 2006

すべて 雑誌論文 (4件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] プリオン病の発症と伝播機構2007

    • 著者名/発表者名
      山口圭一, 松本友治, 児玉耕太, 岸直人, 桑田一夫
    • 雑誌名

      細胞工学 26

      ページ: 151-155

  • [雑誌論文] アミロイドーシス発症の分子機構解明を目指して : 現状と展望、夢2007

    • 著者名/発表者名
      後藤祐児, 桑田一夫, 関島良樹, 田中元雅, 内木宏延, 永井義隆, 松崎勝巳, 樋口京一
    • 雑誌名

      細胞工学 26

      ページ: 181-185

  • [雑誌論文] Effect of Hunter disease (mucopoly saccharidosis type II) mutations on molecular phenotypes of iduronate-2-sulfatase2006

    • 著者名/発表者名
      K.Sukegawa-Hayasaka, Z.Kato, H.Nakamura, S.Tomatsu, T.Fukao, K.Kuwata, T.Orii, N.Kondo
    • 雑誌名

      J Inherit Metab Dis 29

      ページ: 755-761

  • [雑誌論文] Pathogenic role of B cells in anti-CD40 caused necroinflammatory liver disease2006

    • 著者名/発表者名
      K.Kimura, H.Moriwaki, M.Nagaki, M.Saio, Y.Nakamoto, M.Naito, K.Kuwata, F.V.Chisari
    • 雑誌名

      Am. J. Pathol 168(3)

      ページ: 786-795

  • [図書] 論理的創薬入門2006

    • 著者名/発表者名
      桑田 一夫 編著
    • 総ページ数
      283
    • 出版者
      共立出版

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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