本年度は、ユビキチン・ATPレベル・2つのPIシグナル経路がペルオキシソームタンパク質の新生と分解を決定していることを、以下の研究により明らかにした。まず細胞質で合成されるタンパク質が受ける品質管理機構の一つである"N-末端則"をペルオキシソームタンパク質が受けるのかどうか、について、ペルオキシソームタンパク質もN-末端則を受けること、N-末端則に従って、ペルオキシソームタンパク質がユビキチン化を受けていることを明らかにした。一旦、ペルオキシソームは合成されると、何らかのシグナルを受けてペキソファジーにより分解されることになる。また炭素源によりペキソファジー様式(ミクロペキソファジーvsマクロペキソファジー)に違いがあることがわかっていたが、これがどのような細胞内因子により制御されているのか不明であった。我々は細胞内ATPレベルとペキソファジー様式が密接な関係を持っていることを示した。我々はそのシグナルの一つとして、フォスファチジルイノシトール4リン酸を中心とするPI4Pシグナルが働くこと、ゴルジ体に局在するPI4キナーゼPik1が主にその役割を果たしていることを明らかにした。また、ミクロペキソファジーによる液胞の包み込みに、PI3Pシグナリングが直接関わることを、Atg24どVac8の生化学的機能を解析することにより明らかにした。
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