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2006 年度 実績報告書

ポリグルタミンタンパク質のアミロイド形成機構の解明とその阻害薬のスクリーニング

研究課題

研究課題/領域番号 17028035
研究機関大阪大学

研究代表者

永井 義隆  大阪大学, 医学系研究科, 助手 (60335354)

キーワード遺伝子 / 神経科学 / 蛋白質 / 脳神経疾患 / 治療 / 神経変性疾患 / ポリグルタミン病 / アミロイド
研究概要

ポリグルタミン(PolyQ)病はハンチントン病、種々の脊髄小脳変性症などを含む一群の難治性神経変性疾患の総称で、原因蛋白質内の異常伸長PolyQ鎖が異常コンフォメーション変移を獲得し、難溶性凝集体の形成を含む異常蛋白質間相互作用などにより神経変性を引き起こすと考えられている。我々はこれまでに異常伸長PolyQ鎖結合ペプチドQBP1がin vitroで異常伸長PolyQ蛋白質の凝集体形成を阻害し、培養細胞およびショウジョウバエモデルにおいて細胞毒性・神経変性を抑制することを明らかにしてきた。
本研究では1.異常伸長PolyQ蛋白質の凝集体形成に至る構造変化を明らかにして毒性構造体を特定し、さらにQBP1の作用点を解明することを目的とし、生化学的・構造生物学的解析を行った。その結果、異常伸長PolyQ蛋白質はモノマーの状態でβシートヘのコンフォメーション変移を経て、オリゴマーさらにアミロイド線維状凝集体へと重合することを明らかにし、オリゴマーのみならずβシート変移した中間体モノマーも細胞毒性を発揮することを明らかにした。さらにQBP1が異常伸長PolyQ蛋白質のβシートへ変移を阻害することで凝集体形成・細胞毒性を阻害することを明らかにした。
また2.PolyQ病の発症分子機構に基づいた薬物治療を目指して、これまでにPolyQ凝集阻害低分子化合物のハイスループットスクリーニング(約45,000化合物)から新規PolyQ凝集阻害化合物99種類を同定している。これらの1次ヒット化合物について、2次スクリーニングとしてPolyQ病モデルショウジョウバエに対する治療効果を検討し、封入体形成・複眼変性を有意に抑制するPolyQ凝集阻害化合物QAI1、QAI2を同定した。
以上の結果から、PolyQ病の治療標的として異常伸長PolyQ蛋白質のβシートヘの毒性コンフォメーション変移が重要であることが明らかになった。また、薬物治療確立を目指して新規のPolyQ凝集阻害化合物を同定しており、これらはPolyQ病治療薬のリード化合物として期待される。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2007 2006 その他

すべて 雑誌論文 (4件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Protein transduction domain-mediated delivery of QBP1 suppresses polyglutamine-induced neurodegeneration in vivo.2007

    • 著者名/発表者名
      H.A.Popiel
    • 雑誌名

      Molecular Therapy 15・2

      ページ: 303-309

  • [雑誌論文] Multiple candidate gene analysis identifies α-synuclein as a susceptibility gene for sporadic Parkinson's disease.2006

    • 著者名/発表者名
      I.Mizuta
    • 雑誌名

      Human Molecular Genetics 15・7

      ページ: 1151-1158

  • [雑誌論文] Molecular interaction between fukutin and POMGnT1 in the glycosylation pathway of α-dystroglycan.2006

    • 著者名/発表者名
      H.Xiong
    • 雑誌名

      Biochemical Biophysical Research Communications 350・4

      ページ: 935-941

  • [雑誌論文] A toxic monomeric conformer of the polyglutamine protein.

    • 著者名/発表者名
      Y.Nagai
    • 雑誌名

      Nature Structural & Molecular Biology (in press)

  • [図書] 神経変性疾患のサイエンス

    • 著者名/発表者名
      高橋良輔
    • 出版者
      南山堂(in press)

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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