i)SUMOによる分子修飾と細胞記憶制御に関する研究: 多細胞生物において、細胞の個性はそれぞれの細胞の持つ遺伝子挙現パターンとして記憶され、その記憶の維持はクロマチン修飾により厳密に制御されている。本研究では、SUMO修飾によるメチル化DNA特異的結合タンパク質MBD1とヒストンメチル化酵素複合体SETDB1-MCAF1に着目し、これらタンパク質のSUMO修飾によるクロマチン構造の調節機構を解析した。その結果、これらの因子に加え、DNA複製に必須のヒストンシャペロンCAF-1p150がSUMO修飾とクロマチンの制御に重要な因子であることを明らかにした。 ii)SUMOによる分子修飾と核輸送制御に関する研究: メンブラントラフィック経路の多くは、ユビキチンを中心とした分子修飾によるタンパク質品質管理と密接に関わる。その破綻はタンパク質変性と異常集積を亢進し、細胞疾患、ひいては個体レベルの疾患を引き起こす。本研究では、核膜孔タンパク質RanBP2/Nup358のSUMO E3リガーゼ活性に着目し、SUMO修飾と核輸送の関連性について解析を行った。この結果、SUMO化が細胞の核膜孔付近で活発に行われていることが明らかになり、核輸送においてSUMO修飾が重要な役割を果たすことが明らかとなった。
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