研究概要 |
1 生体防御機構における内因性Danger signalの分子メカニズム 細胞内蛋白質品質管理システムを担っている分子シャペロンHSP70,HSP90,ORP150,GRP78のそれぞれに、樹状細胞を刺激する活性があることを見出した。これらの活性は、細胞表面に発現している未知のIiSP受容体を介しており、TNFαやIL-12のようなサイトカインの産生を促して自然免疫を活性化するばかりでなく、HSPと結合しているCliellt蛋白質やペプチドの取り込みとMHC class I経路へのcross presentationを促進することによって獲得免疫系をも誘導していることを明らかにした。さらに、HSP Client分子がペプチドの場合と蛋白質の場合とでは抗原提示経路が異なり、前者は主としてearly endosomeからrecyclillg MHCに、後者はendosomeからcytosolへ移行しproteasolneによる分解を受けることを明らかにした。HSP70と結合するClientペプチドの結合モチーフについてSPR法を用いて解析した結果、7-merの結合モチーフ(LRIALRY)を明らかにした。このモチーフをHSP複合型ベプチドワクチンに応用した結果、動物実験においてヘプチド特異的な細胞傷害性T細胞応答を効果的に誘導することが確認された。これらの発見は新規ワクチン技術として医療へ応用可能である。また、HSP結合性阻害物質DSGは樹状細胞のHSP受容体へのリガンドの結合を抑制することを見出した。 2 新規分子シャヘロンの機能解析 新規分子シャヘロンDNAJC8,DNAJB8のそれぞれを遺伝子クローニングし、それらの機能に関して解析した。その結果、DNAJC8は核内に局在しMachado-Joseph病の原因遺伝子ataxin-3に由来するポリグルタミン蛋白の核内凝集と細胞死を抑制することを見出した。凝集抑制に関わるDNAJC8の機i能ドメインをmappingし、JドメインではなくC末端ドメインであることを明らかにした。DNAJB8は細胞質に局在し細胞分裂とcentrosomeの機能制御に関与していることを明らかにした。
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