研究課題/領域番号 |
17028047
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
山口 芳樹 名古屋市立大学, 大学院薬学研究科, 講師 (90323451)
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研究分担者 |
加藤 晃一 名古屋市立大学, 大学院薬学研究科, 教授 (20211849)
栗本 英治 名古屋市立大学, 大学院薬学研究科, 助手 (90234575)
高橋 禮子 名古屋市立大学, 大学院薬学研究科, 客員教授 (90079989)
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キーワード | 生物物理 / 生体分子 / 蛋白質 / 糖鎖 / 分析科学 |
研究概要 |
VIP36はゴルジ体と小胞体を往来して積み荷糖タンパク質の輸送を担っていると考えられている。VIP36は高マンノース型糖鎖をもつ糖タンパク質と結合することが知られているが、その糖鎖認識の特異性についてはこれまで明らかとされていない。本研究では、糖鎖ライブラリーを用いてフロンタルアフィニティクロマトグラフィ法およびNMR法により、VIP36の糖鎖認識ドメイン(VIP36-CRD)の糖鎖結合特異性を詳細に解析した。NMR法を用いた相互作用解析の結果、VIP36のβサンドイッチ構造のβシートのくぼみにD1アームのManα1-2Manα1-2Man糖鎖が収納されることが明らかとなった。また、糖鎖ライブラリーを用いてVIP36の糖鎖結合特異性を解析した結果、1)D1アームにグルコース残基が付加している場合、2)D1アームのマンノース残基がトリミングされている場合はVIP36との親和性が低下することが判明した。すなわち、VIP36は小胞体中でglucosidase IIによりグルコース残基が除去され、なおかつシスゴルジにおいてmannosidase IによるD1アームのトリミングを受けていない糖鎖を担う糖タンパク質と高い親和性をもつことが示された。また、VIP36-CRDと糖鎖の結合はベル型のpH依存性を示し、pH6.5付近で最も高い親和性を示した。以上の結果とVIP36の細胞内局在を考慮し、VIP36はシスゴルジネットワーク(pH6.4)においてD1アームを保持している糖タンパク質を積み荷として捕まえて、それらを小胞体(pH7.2)へと逆行輸送することにより品質管理に寄与していることが考えられた。
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