1.In vitroにおけるHSP47のシャペロン機能解析のためのモデルシステムの構築 コラーゲンモデルペプチドの3本らせん形成過程、およびその構造安定性をHSP47の存在下でモニタするためのシステムの構築を試みた。合成コラーゲン様配列の末端に2残基のシステイン残基を導入したペプチドを調製し、このペプチドの自発的な3本らせん形成後にチオール基を酸素により酸化した。生成物を逆相およびイオン交換HPLCで分離、定量することによって、ペプチドの3本らせん形成過程を、ペプチドの共有架橋形成として追跡することが可能となった。 しかし、実際にHSP47存在下で、ペプチドの3本らせん形成過程をモニタするためには、チオールの酸化時間の短縮と、検出感度の改善が必要であるという新たな問題点が生じた。 2.重水・TMAOによる3本らせん安定化はhsp47-/-細胞のプロコラーゲン分泌をresucueするか。 細胞レベルでの実験に先立って、in vitroにおけるタイプIコラーゲンの3本らせん構造の安定性に及ぼす重水およびTMAOの影響を円偏光二色性スペクトルを用いて検討した。その結果、重水添加によってコラーゲン3本らせんの変性温度が数度上昇することが分った。一方、細胞培養に用いることの出来る75mM程度のTMAOの添加では、効果的に3本らせんを安定化させることが難しいことが判明した。
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