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2006 年度 実績報告書

オートファジーによる細胞内タンパク質の品質管理

研究課題

研究課題/領域番号 17028056
研究機関東京医科歯科大学

研究代表者

水島 昇  東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (10353434)

研究分担者 原 太一  東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助手 (00392374)
キーワードオートファジー / ユビキチン / タンパク質品質管理 / タンパク質凝集体 / 封入体
研究概要

オートファジーはリソソームを分解の場とする非特異的なバルク分解システムである。昨年度に続き、基底レベルのオートファジーの細胞内浄化作用について検討した。オートファゴソーム形成に必須なAtg5を全身で欠損するマウスは出生直後に深刻な栄養不良に陥り致死となるが、このマウスは出生時にすでに肝や一部の神経細胞内にユビキチン陽性封入体が蓄積していることが判明した。そこでより進んだステージの解析の目的に、神経特異的Atg5ノックアウトマウスを作製した。このマウスは生直後の栄養飢餓には問題なく耐えることができるが、生後4週目より進行性の運動障害(失調性歩行やfoot clasping reflexなど)を呈するようになった。病理組織学的解析では神経系広範囲にわたる神経細胞内封入体形成、軸索腫大、および大脳皮質錐体細胞や小脳プルキンエ細胞の脱落を認めた。
オートファジーが欠損した際に、どのような形状のユビキチン化タンパク質が蓄積してくるかを検討した。まず全身の組織で約30%がノックアウトとなるようなモザイクマウスの肝をユビキチン抗体で染色したところ、KO細胞で蓄積しているのは凝集体だけではなく、細胞質全体のユビキチン化タンパク質であることが判明した。さらに成獣の肝細胞で誘導的にAtg5遺伝子をノックアウトする実験を行ったところ、最初に現れる異常は細胞質全体のユビキチン化タンパク質であり、遅れて凝集体が出現することがわかった。つまり、オートファジーの直接の基質は凝集体そのものではなく、むしろ可溶性のタンパク質であると考えられた。
以上のことから、誘導されるオートファジーは飢餓適応として重要であるが、基底レベルの恒常的オートファジーは生理的な状態での細胞内全体の品質管理機構として、特に神経細胞や肝細胞では変性を抑制する重要な細胞機能であると考えられた。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2007 2006

すべて 雑誌論文 (8件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] LC3, an autophagosome marker, can be incorporated into protein aggregates independent of autophagy : Caution in the interpretation of LC3 localization2007

    • 著者名/発表者名
      Kuma, A. et al.
    • 雑誌名

      Autophagy (印刷中)

  • [雑誌論文] The role of mammalian autophagy in protein metabolism2007

    • 著者名/発表者名
      Mizushima, N.
    • 雑誌名

      P. JPN Acad. B-Phys 82

      ページ: 39-46

  • [雑誌論文] ALIS are stress-induced-protein storage compartments for substrates of the proteasome and autophagy2006

    • 著者名/発表者名
      Szeto, J. et al.
    • 雑誌名

      Autophagy 2

      ページ: 189-199

  • [雑誌論文] Suppression of basal autophagy in neural cells causes neurodegenerative disease in mice2006

    • 著者名/発表者名
      Hara, T. et al.
    • 雑誌名

      Nature 441

      ページ: 885-889

  • [雑誌論文] Intracellular inclusions containing mutant alpha 1-antitrypsin ∠ are propagated in the absence of autophagic activity.2006

    • 著者名/発表者名
      Kamimoto, T. et al.
    • 雑誌名

      J. Biol. Chem 281

      ページ: 4467-4476

  • [雑誌論文] Intracellular quality control autophagy : How does autophagy prevent neurodegeneration?2006

    • 著者名/発表者名
      Mizushima, N. et al.
    • 雑誌名

      Autophagy 2

      ページ: 302-304

  • [雑誌論文] 神経細胞内浄化機構としてのオートファジー2006

    • 著者名/発表者名
      原太一 他
    • 雑誌名

      細胞工学 25

      ページ: 644-645

  • [雑誌論文] オートファジーの生理学 : タンパク質代謝システムとしての役割2006

    • 著者名/発表者名
      水島昇
    • 雑誌名

      医学のあゆみ 216

      ページ: 509-513

  • [図書] Transgenic models of autophagy2006

    • 著者名/発表者名
      Mizushima N
    • 総ページ数
      55-67
    • 出版者
      Wiley- VCH

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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