研究課題/領域番号 |
17029014
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
渡辺 正 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (70092385)
|
研究分担者 |
加藤 祐樹 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (10376634)
|
キーワード | 光合成 / 光化学系(PS)I / 光レドックス特性 / P700レドックス電位 / 分光電気化学計測 / 薄層電解セル |
研究概要 |
光合成の初期過程は、十数段階の電子伝達を経ながら量子収率がほぼ1と、光エネルギー変換効率が極めて高い。高効率光エネルギー変換は光化学系(PS)を構成する電子伝達鎖のレドックス電位の絶妙な調節により支えられていると推測されるが、詳細は明らかにされていない。本研究では、分光電気化学計測を用いて電子伝達鎖のレドックス電位相関の解明を目指す。また、人工色素による光変換の増感を図ることで、光変換機能メカニズムの分子レベル理解を深めることを目的とする。 1 光化学系I反応中心一次電子供与体P700のレドックス電位の生物種依存性 従来の定説では、P700のレドックス電位は生物種によらないものとされてきたが、昨年度までに確立した高精度な分光電気化学的計測手法により、生物種による有意な差を見出した。さらにこの生物種依存性は、PSIへの電子供与体である移動性タンパク質(プラストシアニンかシトクロームc_6)との相関が示唆されたため、P700周辺アミノ酸残基の帯電状態が電位に影響しているのではないかと考えられる。そこで、P700周辺アミノ酸残基の荷電性と電位の相関について調べることとした。 2 人工色素による光化学系I活性の増感 緑色光合成生物では利用率が低い波長領域500〜600nmの光に対し、強い吸収をもつ人工色素をPSIに化学結合させることで、天然のP700活性の増感を試みる。昨年度までは、人工色素としてローダミン(Rh)BとX-Rhを用い、P700活性の増感に成功した。しかし、人工色素をPSIに修飾すると、天然のクロロフィルが存在する疎水性領域ではなく親水性領域のアミノ酸に修飾されるため、エネルギー移動の観点からすれば人工色素の分光特性を十分に生かしきれているとは言い難い。そこで、疎水性領域と相互作用する両親媒性ポリマーにRh-6Gを付加させることで、新規に高効率な光捕集系の構築を試みた。
|