研究課題
1.二酸化炭素還元光触媒として最適化した超分子錯体^1レニウムビピリジン錯体とルテニウム錯体を連結した多核錯体を合成し、その光触媒特性を調べた。いずれの錯体を用いても、ほぼ選択的にCOが生成したが、その生成量は架橋配位子に強く依存した。すなわち、非共役系の架橋配位子により連結された1を用いると、対応するモデル単核錯体混合系よりCO生成量は二倍多くなることが分かった。本光触媒反応は、(1)Ru部が光励起され、Ruより架橋配位子へ電荷が移動した励起状態(MLCT)の生成、(2)BNAHによる、この励起状態の還元的消光(3)Ruに配位したビピリジン部からReに配位したビピリジン部への分子内電子移動を経由することで進行する。1のRe上の配位子をCl^-からP(OEt)_3に変えた超分子錯体3は、1と比較して約2倍の二酸化炭素還元触媒能を示した。CO生成の量子収率は22%、ターンオーバー数は、200を超え、可視光で駆動する最も高性能な均一系光触媒である。1のRe(CO)_3Cl部位に変えて、Ru(tpy)(CO)を導入したRu2核超分子錯体を光触媒として用いると、ギ酸だけが選択的に生成することを見出した。2.水からの水素発生に最適化した集積型錯体の開発上述した、二酸化炭素光還元超分子触媒の開発で得られた情報を基に、水素発生触媒であるコバルトジイミン錯体を導入した超分子錯体の合成を試みている。右式に示す反応により、Ru-Co4核錯体がin situで生成することがわかった。この錯体は、水素発生の光触媒として機能する。3.半導体へのアンカー官能基を有する超分子触媒の開発ヒドロキシアルキル基やカルボキシル基を有するビピリジンがRuサイトに配位した超分子錯体を合成した。これらの超分子錯体を、酸化力の強い半導体光触媒表面に結合させることに成功した。
すべて 2005
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