1.CdSe量子ドットのTiO_2上への自己組織化は、基板となるTiO_2ナノ構造により異なることが判明した。ナノ粒子基板に比べ、次元の異なるフォトニックやナノチューブの基板の場合は、結晶成長速度は増大するが、負に自己組織化(溶解)もより顕著になり、その結果量子ドットサイズは自己組織化時間の増加に対してある一定値に飽和することが見出された。これらの事実からは、同じ元素の組成にも関わらずナノ構造状態に伴う表面エネルギーの違いが示唆された。 2.同じ粒径を示すCdSe量子ドットにおいて、高温で自己組織化を行った系の分光増感は低温で形成された系に比べて2倍ほど大きいことが判明した。その結果、高温での自己組織化に伴う界面準位の減少と逆電子移動が阻止されることが示唆された。 3.CdSe量子ドットからの光励起キャリア過渡応答は、基板となるTiO_2結晶構造の違い(ルチル型とアナターゼ型)により大きく異なることが判明した。正孔の緩和時間は結晶構造の違いは反映されなかったが、電子の緩和時間は結晶構造に大きく依存することがわかった。これらの結果から、結晶構造の違いに対応してバンドの曲がり(電気二重層)の違いが示唆された。 4.CdSe量子ドット増感光電変換セルを形成し、光電変換効率の評価を行った。表面保護を施さなかった系では最高0.6%程度で、光照射に伴う劣化が見られた。一方表面保護を施した系では、光電変換効率2.7%を達成することが出来た。同時に、光照射に伴う劣化も防止することが可能となった。
|