研究課題/領域番号 |
17029037
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
平井 隆之 大阪大学, 太陽エネルギー化学研究センター, 教授 (80208800)
|
研究分担者 |
白石 康浩 大阪大学, 太陽エネルギー化学研究センター, 助教授 (70343259)
|
キーワード | ナノ粒子 / ナノ細孔 / 光触媒 / 光機能材料 / 有機合成 / 水素生成 / 光化学反応 / 発光型分子デバイス |
研究概要 |
(1)両親媒性デンドリマーによる光増感酸素化反応 三重項増感剤であるベンゾフェノン(BZP)をコアとし、疎水性の内部空間と親水性の外殻部から構成される両親媒性デンドリマーGn(nは世代数、1〜3)を合成し、これを増感剤としてスルフィド類の光増感酸素化反応を行ったところ、無置換のBZPよりも大きい収率が得られ、特にG2を増感剤とした場合に収率は最大となった。これは、世代数の増加に伴う内部疎水性の増加により、スルフィドのデンドリマー内部への取り込みが促進される一方、生成した極性の高いスルホキシドが速やかにデンドリマー外部へ排出されるためであり、スルホキシドへのエネルギー移動によるスルフィドの励起の抑制を効果的に回避できることが示された。 (2)チタノシリケート光触媒によるサイズ選択的物質変換 チタノシリケート(TS)により各種の基質の水溶液中での光触媒反応を行った結果、分子サイズ(幅)がTSの細孔径とほぼ等しい基質が選択的に反応し変換されるのに対して、より小さい分子や大きい分子はほとんど反応しないことを見出した。TSのサイズ選択性は4配位Ti酸化物種とマイクロ孔が組み合わされることにより発現する。これは細孔径とほぼ等しい分子径をもつ基質が、寿命の短い触媒活性種を捉えやすいためである。このようなTSのサイズ選択型の分解機能は、細孔径とほぼ等しい分子径を持つ基質を少し小さな分子に変換する反応に利用でき、その一例として、有害なハロゲン化合物から対応するフェノール類を直接合成する極めて特異な反応を実現できた。 (3)メソポーラス酸化チタン光触媒による吸着性選択型物質変換 メソポーラスTiO_2(m TiO_2)を光触媒として水溶液中の各種の有機化合物を反応させた場合、触媒に吸着しやすい基質に対して高い活性を示した。これは細孔を有しないTiO_2(n TiO_2)では見られない傾向であり、このような吸着性依存型の光触媒反応は、ナノサイズの細孔構造を持ちアナターゼ相を含むTiO_2のみで発現することが分かった。このようなm TiO_2の光触媒特性を利用することにより、吸着しやすい基質から吸着しにくい基質を選択的に合成することができ、ベンゼンの水酸化によるフェノール合成反応を極めて高い選択性(>80%)で実現できた。
|