研究概要 |
1.光合成システム(PS II)中に存在している酸素発生中心はマンガン4核-カルシウムのクラスターであると提案されている。本研究では、(1)光機能性部位としてナフタレンを持つマンガン錯体の合成を検討した。また(2)光機能性分子の新たな応用として、高速で運行するロケット等の機体表面の圧力場計測のための光界面センシングの高度化のための技術開発を行った。 2.(1)ナフチル-Mn三核錯体のデザイン合成と光化学特性の解明ならびに、(2)テトラフェニルポルフィナト白金(II)錯体を陽極酸化アルミ皮膜に自己集積させた感圧塗料としての性能を調べた。 3.(1)1-naphtylacetic acid,2-naphtylacetic acid及びN^nBu_4MnO_4と酢酸マンガンを原料として、[Mn_3(μ_3-O)(μ-O_2CCH_2-1-naph)_6(py)_3](1)および[Mn_3(μ3-O)(μ-O_2CCH_2-2-naph)_6(py)_3](2)(1 or 2-naph-CH_2CO_2H=1 or 2-naphtylacetic acid, py=pyridine)を合成し、キャラクタリゼーションを行った。錯体1,2のナフタレン部分からの蛍光スペクトルは、ナフチル酢酸に比べて蛍光強度の減少が観測され、この減少は溶媒の誘電率に依存することが分かった。この結果はマンガンクラスター部とナフタレン部に電子移動していることを示唆しており、OECモデル錯体としての機能が期待される。(2)陽極酸化アルミ皮膜上に固定した白金ポルフィリン誘導体では、強発光性と高い酸素感受性および光安定性が確認された。しかし、酸素100%からアルゴン100%へのガスの切り替えでは、発光強度の応答に長時間(ca.600s)を要することが確認された。これは、白金ポルフィリン誘導体と酸素との強い親和性に起因していると考えられる。
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