研究課題
太陽電池として現在実用化されているものとしてアモルファスシリコンを用いるものが知られている。しかし将来的には低コストで環境に優しい材料の開発が望まれる。その第一候補として酸化チタン半導体を用いる色素増感太陽電池が着目されている。色素太陽電池の代表的な増感剤はルテニュウム錯体であるN3である。これを用いたグレッエル型湿式セルの変換効率は10%程度であると言われている。しかし2つ問題点がある。第一はルテニュウムが高価であること、湿式セルは液漏れを防ぐ為にコストが嵩むことである。これらの欠点を克服する為に写真増感剤として知られているシアニン色素を用いる事とした。シアニン色素の特徴は分子吸光係数が大きく、可視光から近赤外まで幅広く吸収帯を持つので太陽光を有効に利用できる点である。さらに湿式セルの欠点を克服する為に固体型セル(CuI)の可能性を探ることとした。そこでメソ位に電子供与性の高いユロリジル基を導入したものや、電子供与基であると同時にCuIとの相互作用の高いメチルチオフェニル基を導入したシアニン色素を合成し、湿式セルと固体型セルを作成し性能試験を行った。その結果固体型セルを用いた場合基準として用いたN3と同程度の太陽電池になることを明らかにした。湿式セルを用いた場合は殆ど性能が出なかった。将来Ru金属を使わない色素太陽電池の実用化への可能性を開いた。
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