研究概要 |
超親水性の伝熱促進効果を明らかにするために,実際の空調用プレートフィン式熱交換器に近い凝縮試験装置を作成した.試験部入口からは,温度と湿度を調節された湿り空気が導入され,フィン部分で凝縮が生じる.10分間に凝縮した液をシャーレで捕獲し,その重量を電子天秤で測定することにより,単位時間当たりの凝縮量を求めた.また,試験部を取り外して,フィン表面にトラップされている凝縮液の量を測定した.Ti02面については,UV照射なし,UV照射1時間,およびUV照射15時間の3つの条件で比較実験を行った.流入空気の温度は20,30,40℃,湿度は50,70,90%である.試験部入口風速は1.5m/sと一定にした.ペルチェ冷却器の温度は15℃に設定したが,熱抵抗によりフィン表面の温度は20〜30℃程度であった. 相対湿度90%では空気温度が高いほど凝縮量が増えている.フィン表面の違いを比べてみると,normal, Ti02(UV off),Ti02(UV on 1hr),Ti02(UV on 15 hr)の順に凝縮量が増えている.Ti02(UV on 15hr)については,他に比べて約20%凝縮量が増えている. 保水量と入口空気温度の関係においては,normal, Ti02(UV off),Ti02(UV on 1hr),Ti02(UV on 15hr)の順に保水量が多いことがわかった.表面が親水性である程,凝縮量が多く,保水量が少ない. 試験部出口風速と保水量の関係では,データに若干のばらつきはあるが,UV照射面が通風抵抗低減の点で優れているということができる. 以上の実験結果から,Ti02(UV照射15hr)面の凝縮量が最大であり,保水量は最小となる.光励起親水化現象により熱交換性能が向上することが確認された.
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