研究課題/領域番号 |
17029060
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
山村 剛士 東京理科大学, 理学部化学, 教授 (00114702)
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研究分担者 |
小野田 晃 東京理科大学, 理学部化学, 助手 (60366424)
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キーワード | シリコン型ペシクル / アンテナクロロフィルモデル / OECモデルクラスター / 蛍光寿命 / 水素発生 / ヒドロゲナーゼ活性中心モデル / ニッケルペプチド錯体 |
研究概要 |
人工の光合成チラコイド膜を用いた水の可視光分解を目指して、耐久性と金属酸化物半導体等との組み合わせ可能性を兼ね備えた系として、シリコン系の脂質2重膜に着目し、アンテナモデルの包埋、要素触媒点の生物無機化学的アプローチによる準備を目指した。 1)アンテナクロロフィルモデルを閉じ込めたシリコン型ベシクルの構築では、先ず、アンテナモデルの合成法の改良を試みた。アンテナモデルとしてアミノ酸型ポルフィリンを直接カップリング後ゲルろ過分取した。得られたオリゴマーの重合数はおよそ4〜7であった。一方、シリコン型ベシクルの形成条件の検討を、ベシクル形成・粒径分布(動的光散乱)に及ぼすpHと注入速度の影響を明らかにした。更に、シリコン型ベシクルの脂質膜中へのアンテナモデルの包埋条件の検討を行なった。種々条件を検討し、得られた緑色ベシクルのSEM、TEM、EDX、蛍光顕微鏡観測、共焦点レーザー顕微鏡の観測、等から脂質2重膜への包埋に成功したことを明らかにした。次いで、包埋濃度の検討を行い、最大濃度ではアンテナポルフィリン間に蛍光移動が起こることを示唆する結果を得た。蛍光寿命の測定から、ポルフィリンは2重膜表面近傍に存在する可能性が高いことが分かった。 2)光合成酸素発生中心(OEC)にあるマンガン・カルシウムクラスターにならい、新しいマンガンクラスターの合成を試みた。その結果、新規にカルシウム含有マンガンクラスターの合成に成功した(世界で2例目)。今後更にOECに類似した構造の混合クラスターに達する出発物質になるものと位置づけている。一方、既に酸素発生を行なうことが判明しているマンガンμ-oxoダイマーを直径数ナノメーターのシリコンナノベシクルの親水領域に包埋する検討を行い、2本鎖逆ミセルの使用が可能性を有することを見出した。 3)水素発生を行なうヒドロゲナーゼ活性点のモデル化を目指して、新しいペプチド形ニッケル錯体の合成とその構造解析に成功した。また、その、石英表面上への移植にも成功した。
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