研究課題
本研究では、界面活性剤の自己組織化構造をアゾベンゼン修飾界面活性剤、桂皮酸ナトリウムなどの光スイッチング分子を用いて制御することにより、溶液粘性を可逆的に制御することを目的とした種々の検討を行った。まず、前年度までに報告したアゾベンゼン修飾カチオン界面活性剤(AZTAB)/典型的カチオン界面活性剤(CTAB)/サリチル酸ナトリウム(NaSal)混合系における光誘起粘性変化の機構について検討を行った。まず、動的粘弾性測定により、トランス-AZTMA/CTAB/NaSal混合水溶液中で形成する紐状ミセルの絡み合いが、紫外光照射後(シス-AZTMA形成後)には著しく減少していることが示唆された。さらに紐状ミセルの構造をcryo-TEM(クライオ透過型電子顕微鏡)で観察したところ、紫外光照射後では紐状ミセル長の減少が観察されたことから、紐状ミセルの長さ減少に伴うその絡み合いの減少により溶液粘性が減少していることが明らかとなった。さらに、アニオン界面活性剤であるエアロゾル-AOTが形成する逆ヘキサゴナル液晶を用いた有機溶媒中での光粘性制御についても検討を行った。一方、光誘起粘性変化現象をプリンターインクなどに応用する上では、より汎用的、低コストな材料を使用することが求められるために、新たにCTAB/桂皮酸ナトリウム(NaCin)混合水溶液中での紐状ミセル形成について検討を行った。CTAB/NaCin混合水溶液の粘弾性挙動は、CTAB/NaSal系と同様マックスウェルモデルに従ったことから、紐状ミセルの形成が示唆された。さらに、紐状ミセル中でのNaCinのトランス/シス光異性化反応により、溶液粘性が約4桁ドラスティックに変化することを見出した。
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