1)ソルボサーマル法によるブルカイト型酸化チタン光触媒の合成と光触媒特性評価 TiO_2はアナタース、ルチル、ブルカイトの3つの結晶系で存在する。その中でアナタースとルチルはよく知られており、これらの合成および光触媒や触媒担体への応用に関する研究例は多い。一方、純粋なブルカイト型TiO_2は合成が困難であるため、その物性や光触媒特性についてはあまり研究されていない。そこで、ソルボサーマル法によるブルカイト型TiO_2の合成を種々検討した。その結果、チタン源にチタンオキシアセチルアセトナート、溶媒にエチレングリコール-水混合系、共存物質に各種ナトリウム塩を用いるとブルカイト型酸化チタンのナノ結晶が生成することを見いだした。これを複数の光触媒反応系に用いたところ、ブルカイト酸化チタンの最適な物性は反応系に依存して大きく異なること、および、最適な物性を付与された試料は、市販高活性品P-25やST-01と比べても遜色ない特性を示すことが明らかになった。 2)水中硝酸イオンの窒素への還元無害化 正孔捕捉剤(シュウ酸イオン)共存下、光触媒還元反応による硝酸イオン(NO_3^-)のN_2への還元無害化を検討した。まず、0.5wt%Cu-TiO_2を用いたときの懸濁液のpHの影響を検討した。pHを上げると還元生成物はNH_3からNO_2^-へと変化した。つぎに、触媒にCuPd-TiO_2を用いてpH12で12h光照射するとNO_2^-は生成せず、代わりにN_2が生成し、光触媒によるNO_3^-のN_2への還元無害化が可能であることを見出した。また、基質をNO_2^-に代え、触媒としてPd-TiO_2を用いてアルカリ性条件下で光触媒還元を行うと、NO_2^-は誘導期を持たずにN_2へと還元された。このことはNO_2^-からN_2への還元においてPdが助触媒として機能していることを表している。
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