研究課題/領域番号 |
17029069
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研究機関 | 分子科学研究所 |
研究代表者 |
松本 吉泰 分子科学研究所, 分子スケールナノサイエンスセンター, 教授 (70181790)
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研究分担者 |
渡邊 一也 分子科学研究所, 分子スケールナノサイエンスセンター, 助手 (30300718)
松本 健俊 分子科学研究所, 分子スケールナノサイエンスセンター, 助手 (20390643)
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キーワード | 金ナノクラスター / チタニア / 走査型トンネル顕微鏡 / プラズマエッチング / 光触媒 / アルカンチオール / 金酸化物 / 焼結 |
研究概要 |
本年度は、チタニア表面上の金ナノクラスターのモデル触媒を構築し、その構造などの特性評価を集中的に行った。 まず、アルカンチオールで保護された金ナノ粒子を、HAuCl_4水溶液をCH_3(CH_2)_7NBrのトルエン溶液と撹拌し、NaBH_4及びヘキサンチオールを加えて還元することにより調整した。えられた金ナノクラスターをゲルパーミーションクロマトグラフィーによりサイズ選別した。金ナノクラスターのTiO_2(110)表面への担持は、LB膜の調製と同様なdip coating法により行った。TEM、および、質量分析から用いた金ナノクラスターの粒径は1〜2nm(保護基を含まない)と推定された。 このように作成した試料を酸素プラズマエッチングにより、保護基を除去した。この際、金ナノクラスターは酸化され、Au_2O_3を生成するが、これを水素エッチングにより還元することができた。これらの進行状況はX線光電子分光によりモニターした。この結果、プラズマエッチングは保護基除去に関して極めて有効であることがわかった。 プラズマエッチング前後の金ナノクラスターの構造をSEMと走査型トンネル顕微鏡により評価した。その結果、チオレート保護基を持つ金ナノクラスターは互いに凝集し、チタニア表面上に吸着することがわかった。表面との相互作用に比べると、チオレート保護気を持った金ナノクラスター同士の引力的な相互作用が強いためと思われる。プラズマエッチングを行った後の金クラスターは表面とより強く相互作用し、その構造はSTMにより明瞭に観察することができた。その結果、金ナノクラスターは3〜5nmの形状に成長していることがわかった。これは、プラズマエッチングによる反応熱で、金ナノクラスターが互いに焼結したものと思われる。アルカンチオレートの長さをC6からC18まで変化させて、同様な観察を行ったが、結果はほぼ同様であった。したがって、焼結を防ぐためには金ナノクラスターをより分散した状態で表面に吸着させることが必要である。
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