高圧力環境下は、表面反応において気泡が発生しないという特徴を持っている。その特徴は電極反応において有用なことである。しかし、高圧耐圧容器は金属による密閉系であること、自然の高圧力環境である深海は光が届かないことなどから、高圧力と光反応の関係は無視されてきた。近年、固体光源であるLEDの発展により、様々な波長のLEDが開発され、樹脂硬化などの応用面から、短波長のLED光源が活発に開発されている。本申請者は、LEDが圧力に対して非常に安定であることから、高圧力にたえうるLEDアレイを構築し、酸化チタン光触媒に高圧力環境下で光照射し、高圧耐圧容器内の光触媒反応を検討し、閉鎖空間内における浄化作用の効果を検討することを目的とした。365-380nmのピーク波長を持つ紫外線LEDを石英セル中に固定し、コンペンセーターを接続させ、圧力による電気回路の故障を防ぐ工夫を施し、LEDアレイを作成し、閉鎖高圧力空間における、水の浄化作用の効果を検討した。その結果、閉鎖高圧力空間における汚濁の進行を、遅らせる効果があることが確認できた。高圧力環境下では、容易に循環加圧水を交換できないため、光触媒による補助的な遅延効果は、深海生物の飼育に適していると考えられる。現在、サンプリングしてきた深海生物を実際に入れ、効果を再検討中である。
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