研究課題
大質量星がII型超新星爆発をおこす物理機構は30年以上にわたり謎となっている大問題である。爆発の直前に星の中心に形成された鉄コアが爆縮することは既知であるが、その爆縮が爆発に転じる機構は不明である。またII型超新星爆発は球形から相当にずれていると考えられているが、爆発を非球形にする物理機構も明解にはなっていない。本研究課題ではこのような認識から、磁場と回転を考慮した鉄コア爆縮の3次元数値シミュレーションを行った。シミュレーションでは星の回転軸に対して傾いた磁場を設定し、鉄コアの爆縮により形成される原始中性子星の進化を追跡した。爆縮により密度が10万倍増大するため、原始中性子星は新星より数千倍強い10^<15>Gの磁場をもつ。磁場は爆縮により動径方向に引き延ばされスプリットモノポール状になるが、原始中性子星が形成された後、自転により捻られトーラス状に変形される。今回の3次元計算により、トーラス内では磁場の向きが短い間隔で反転することが初めて示された。またトーラスに貯められた磁気エネルギーは、回転軸方向へのジェットとして解放されることも示された。さら原始中性子星形成からジェット放出までの時間差は主に初期磁場の強さに、ジェットのエネルギーは初期の回転速度に依存することが明らかになった。また本研究の過程において、強い衝撃波を伴う流れのシミュレーションに現れやすいカーバンクル不安定の除去法を開発することに成功したので、これについても学術論文にまとめ投稿した。
すべて 2007 2006
すべて 雑誌論文 (5件)
Publications of the Astronomical Society of Japan 59巻(印刷中)
Proceedings of the ESO workshop Multiple Stars across the H-R diagram (印刷中)
Astrophys. J. 647巻・2号
ページ: L151-L154
Astrophys. J. 649巻・2号
ページ: L129-L132
Numerical Modeling of Space Plasma Flows : Astronum-2006, ASP Conference Series, Vol. 359 359巻
ページ: 158-163