本研究は、低光度活動銀河核のX線強度の時間変動とX線スペクトルを使って、中心ブラックホールと降着物質の性質を明らかにすることを目的としている。本年度は、 1)低光度活動銀河核のサンプル作成 2)個々の天体の詳細解析 3)時間変動解析 を目的とした。私は、10数個の活動銀河核を抽出し、その銀河について解析を行った。チャンドラの撮像観測の結果を使うと、XMM-Newtonで観測した天体が複数の天体の集合であるものもあった。活動銀河核を持っているとみなすことが出来る天体について時間変動解析を行ったところ、ほとんどの低光度活動銀河核で時間変動を有意に検出できなかった。この事実は、中心ブラックホールの質量が大きいことを表わしているのかもしれないが、詳細な議論は来年度行う予定である。 一方、活動銀河核の時間変動が周波数のベキ乗で表わす事ができることから、時間変動解析には注意が必要である。時間変動の解析手法を確立させるために、2型セイファート銀河NGC6300の時間変動解析を数値シミュレーションの結果と比較しながら行った(論文1)。また、低光度活動銀河核の解析で用いるexcess varianceの手法を確立させるために2型セイファート銀河の解析を行った(論文2)。この研究により、低光度活動銀河核で用いる解析手法をほぼ確立できた。 時間変動解析にあたって、本年度は設備備品として高速の計算機Apple PowerMacG5を購入した。また、得られた個々の天体の解析結果の報告に必要な旅費や消耗品等を購入した。
|