研究概要 |
1.平成2年から平成5年まで継続した雲仙普賢岳の噴火災害では、火砕流が頻発した。火砕流の発生は予知が困難で、発生してからの避難では対応が間に合わない。したがって雲仙普賢岳の噴火対策は爆発的噴火に対する対応に参考になると考えられるので、平成2年から平成18年までの火山観測、行政、住民、マスコミの対応を時系列を追って整理し、噴火シナリオを作成するためのデータを作成した。さらに、膨大な報告書、論文、新聞報道記事を整理して、資料の保存を行った。文献目録は「1990-1995雲仙普賢岳の火山災害に関する文献目録」と題する報告書として刊行した。さらに、噴火災害の課題と教訓を体系的にまとめる作業し、内閣府中央防災会議の災害教訓の継承に関する専門調査会の報告書「1990-1995雲仙普賢岳噴火災害報告書」に反映された。 2.火山噴火により、地域が壊滅的に被害を受けた島原市安中地区の住民に対するアンケート調査を行い、再噴火、災害対策、災害教訓・伝承などに対する考え方を整理した。また、2007年11月に開催される火山都市国際会議への参加意欲、世界に伝えたいことを調査した。この結果を特定領域研究の報告書「火山噴火のダイナミックス」に掲載した。また、火山災害の遺構を保存し、火山学習・伝承、体験型の観光を目指す火山フィールドミュージアムの取組みの効果について、観光客アンケート、観光業者アンケートより明らかにした。これらを自然災害科学Vo1.25, No.3および土木構造・材料論文集No.22に公表した。 3.爆発的火山噴火に対する避難対策に活用できる火山監視、情報伝達、避難対策、都市施設のあり方について、最近の情報技術を用いて整理した。
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