研究課題/領域番号 |
17032001
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
工藤 博幸 筑波大学, 大学院・システム情報工学研究科, 助教授 (60221933)
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研究分担者 |
朝田 隆 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (90184142)
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キーワード | 計算機支援診断 / 痴呆 / 画像処理 / 医用画像 / SPECT / MRI / 血流 / 部分容積効果 |
研究概要 |
本研究では、SPECT画像とMRI画像を融合して用いる新しいアイデアに基づき、脳の萎縮が伴わずに血流が低下してる部位を抽出し痴呆性疾患の診断に役立てる計算機支援診断(CAD)ソフトウェアFUSEの実現を目指している。前年度までの研究において、MRI画像を領域分割・ヒストグラムマッチング・位置合わせなどにより解析して正常人のSPECT画像を模擬したテンプレートを作成し、これと患者のSPECT画像の差分をとり正常人と比較して血流が低下している部位を抽出する手法とソフトウェアを開発している。本年度は、以下の2点について研究を行い、国際会議論文2件と国内会議4件の論文として発表することができた。まず、部分容積効果によるSPECT画像の劣化を補正する処理をFUSEに組み込むことで、血流低下部位低下検出の分解能と定量性を向上させることを検討した。具体的には、Muller-Gaertnerらにより提案された同一患者のMRI画像を用いたSPECT画像の部分容積効果補正法を補正に必要な未知パラメータ(点拡がり関数や脳質の血流値など)が自動推定できるように改良し、これを実装してFUSEに組み込んだ。更に、より厳密な手法として、統計的SPECT画像再構成法にMRI情報に基づく部分容積効果補正を組み込む手法も開発した。次に、前年度までの研究では少数の症例に対する有効性の確認しか行っていなかったが、本年度は筑波大学病院で撮影された30症例からなる多数データセットでFUSEの性能評価を行った。その結果、(1)部分容積効果の補正を行うことで血流低下部位検出の分解能や定量性が向上し診断に使いやすい結果が出力されること、(2)3D-SSPと呼ばれる類似の目的を達成するソフトウェアとFUSEの処理結果の間には強い相関がありFUSEの方が幾分正常人と痴呆性疾患を識別しやすい処理結果を出力すること、などが明らかとなった。
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