研究概要 |
我々がこれまでに提案した呼吸ゲートSPECTに対する非線形の動き補正技術を,呼吸に伴う肺の局所的な動きの解析へ応用した.動きの解析は,呼吸ゲートSPECT画像から抽出された肺野領域を12の小領域へ分割し,体軸方向への平均移動量を求めることによって実施された.本手法を肺気腫やびまん性汎細気管支炎などを含む臨床データに適用した結果,健常肺と換気障害を持つ肺の呼吸変位の間に明確な差が検出され,さらに左右肺における障害の程度の差を検出することができる可能性があることが確認された. また,動き補正技術をPETの吸収補正に応用する方法を考案した.PETは、放射性同位元素で標識された薬剤を体内に投与し、体外に放出される一対のガンマ線を検出し、このデータを使い体内の薬剤分布を画像化する装置である。PETの検査は20分〜30分と長いため、胸部のPET検査の場合には、呼吸における胸部の動きが再構成画像に影響を与えてしまう。本研究では呼吸ゲートをかけたPETデータに対して,動き補正技術を利用して適切な吸収補正を行う方法を提案した。ファントムを用いてシミュレーションを行い,提案手法の有効性を示した.
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