研究概要 |
本研究の目的は,ボリュームデータを持つ胸部マルチスライスCT画像に対する経時的サブトラクションの手法を開発し,結節状陰影の検出を目的としたコンピュータ支援診断(CAD)に適用することである.本研究に関する平成17年度の研究実績の概要は次の通り. 1.胸部マルチスライスCT画像に対応する経時的サブトラクションアルゴリズムの開発 ボリュームデータを持つ胸部マルチスライスCT画像に対応する経時的サブトラクションの手法を開発した.マルチスライスCT画像に対するグローバルマッチングおよび局所的なローカルマッチングを伴う非線形画像変形(ワーピング)において,3次元的な画像処理技術を用いた,特に,過去および現在CT画像におけるVOI間のテンプレートマッチング法で得られたすべてのローカルシフトベクトルに対して,Elastic matchingによる非線形補間を試み,線形補間法と比較した.その結果,この手法を適用すると,アーチファクトの少ないサブトラクションCT画像が得られて,新しく出現した結節状陰影が強調されることが示された. 2.コンピュータによる結節状陰影の検出アルゴリズムの開発 サブトラクションCT画像を対象として,結節状陰影の検出を目的としたコンピュータ支援診断アルゴリズム開発の予備的研究を行った.本格的なアルゴリズムの開発は,平成18年度に行う予定である. 3.胸部マルチスライスCT画像を含むデータベースの構築 本研究のために,4列の検出器を持つマルチスライスCTスキャナーで撮影されたCT画像を含む画像データベースを構築した.データベースに含まれる症例数は20症例で,それぞれ過去および現在のCT画像で構成されている(8症例の現在CT画像には結節状陰影が含まれる).平成18年度も,データベースの構築は継続する予定である.
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