最高エネルギー宇宙線源の候補の一つと考えられる、超新星、極超新星、ガンマ線バーストなどの、宇宙における巨大爆発の性質を、理論的なモデル構築と、観測との比較により明らかにすることを目的とした。今年度の研究では、特に巨大星のジェット状爆発モデルの研究を中心として、下記のような結果を得た。 1.太陽質量の500-1000倍の巨大質量星が進化、重力崩壊して、ジェット状爆発を起す過程の2次元流体力学モデルを構築し、爆発を起しうる条件を求めた。 2.その結果、重力崩壊する星の半分ほどの質量を持つ中質量ブラックホールが形成されること、それに付随して、かなりの量の重元素をすることを見い出した。 3.中質量ブラックホールが観測されたM82の高温ガスや、銀河団ガス、銀河間ガスの化学組成など、通常の星だけでは説明できない組成を説明することができる。 4.特異な超新星も、宇宙線源としては重要である。その観点で、Ic型からIb型へ変化したり、光度曲線に二つの山が出現するなど、これまで観測されたことのなかった特異なIb型超新星SN2005bfの理論的モデルの構築を行なった。これは極超新星ではないが、かなり極端な非球対称爆発をするモデルで、基本的特徴が説明可能であることを示した。
|