平成16年度に実施したビームテストのデータ解析の結果、シンチファイバーを用いた解像型カロリメータは、位置分解能などの基本的性能においては所期の目標を達成していることが確認された。しかしながら、データ取得システムはまだ開発段階であり、このビーム実験段階では本番実験で不可欠とされる1kHzの速度を実現するには至っていなかった。このため、高速化を実現するために必要な、前置回路システムの最適化研究をおこなって、回路試作を実施した。その結果、試作段階において1kHzのデータ取得スピードが実現されていることが確認された。そのほか、回路システムのコンパクト化や耐放射線性能の検討を実施して、本番実験に向けて装置製作上の基本的困難を解決することができている。 以上の装置開発と並行して、CERNでの実験正式承認に向けて、LHC委員会(LHCC)のOpen Sessionにおける提案説明、実験打ち合わせのためにCERNに滞在した。さらに実験の最終承認のために必要なTechnical Design Report (TDR)の作成をおこなった。現在、LHCCにおける最終審査が行われる段階になっている。同時に、平成18年度のSPSによる本番用装置のビームテストに向けて提案書を作成し、テスト実験実施に向けて準備を行っている。この他、開発の内容や計画の進行状況についての報告のために、国内外への出張を行い、外国人研究者の招聘も実施した。
|