研究概要 |
触媒材料として注目されている前遷移金属(ETM)窒化物調製に際し,第2成分としてFeを添加しアンモニアガスを用いずに,N_2-H_2混合ガス中で昇温し窒化を行った。この際ETMの窒化はFe近傍から進行するため,その極微領域における構造転換が追跡可能である。詳細な窒化過程を追跡することで,微細なナイトライドクラスター生成に関する知見を得る事が目的である。さらに,第2成分近傍からの構造転換という手法を活かし,Coを添加したTi種の炭化過程に応用した。 (1)規則性メソ細孔を有するシリカ(MCM-41)へNbを3wt%で担持した触媒調製に成功した。XAFS測定によりこの触媒中のNb種は2nm程度のクラスターとして高分散担持されていることがわかった。ここにN_2-H_2混合ガスだけを流通させ1273Kまで昇温したが,窒化せずNbの還元が見られるだけであった。FeをNbに対し5-20%添加することにより,Feが還元し窒化物となり,そこからNbの窒化が進行することが明らかになった。この時,Nbの前駆体をNbCl_5,とせずペルオキソニオブ酸を用いることで,1073Kという低温処理でもNb窒化物へと転換させることが可能となった。 (2)TiCはTiO_2をCH_4-H_2混合気流中1410Kで処理することで得られるが,Coを添加することで1173KでTiCに転換させることに成功した。Ti前駆体としてTiCl_4を用いカーバイド化を行うよりも,ペルオキソチタン酸(PTA)をTi前駆体としてカーバイド化を行った方が,均質なTiCが生成することがわかった。XAFS測定の結果より,PTAを前駆体とした触媒ではCoとTi間にCo-O-Ti構造が認められたが,カーバイド化処理後はCo-Ti結合もしくはCo-Co結合が認められ,Coが還元され,そこからTiCが生成していることが示された。TiCの生成度合いとチオフェンの水素化脱硫反応活性には相関性があり,Tiのカーバイド化が進行していた触媒の方が,水素化脱硫反応活性が高いことがわかった。
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