【ナノシリンダーの合成の検討】 新規ナノシリンダーとして、1-アミノメチルピレンあるいはペリレンのジアミン誘導体を開始剤としてリシンN-カルボキシ無水物のリビング重合を行いポリペプチドの軸を構築した。リシン残基側鎖のアミノ基からポリ(アミドアミン)デンドリマー合成を行った。デンドリマー分岐鎖でおおわれたポリリシンのナノシリンダーを合成した。 【単分子シリンダー/DNA複合体の細胞への導入】 ナノシリンダー、ポリ(アミドアミン)デンドリマー、ならびにポリリシン誘導体とDNAとの複合体を形成し、Hela細胞への導入を行った。細胞への導入挙動と、細胞内へ入ってから核への移行の挙動を観察し、球状キャリヤーの場合との比較を検討した。また、これらのキャリアーの細胞毒性を評価したところ、低毒性であることが明らかになった。これらの知見を総合することで、細胞への遺伝子導入の挙動を、実時間ならびに実空間で把握することができる。デンドリマーやナノシリンダーの構造と導入効率の結果を踏まえて、用途に応じたキャリヤー設計にフィードバックした。キャリヤー高分子の形状と表面構造を規制することで細胞内ダイナミクスの制御に向けた新たな知見を得た。
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