• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2006 年度 実績報告書

非線形ナノ振動分光技術の開発研究

研究課題

研究課題/領域番号 17034034
研究機関大阪大学

研究代表者

井上 康志  大阪大学, 大学院生命機能研究科, 教授 (60294047)

キーワードチップ増強ラマン散乱 / 近接場ナノ分光 / 局在プラズモン / 表面増強ラマン散乱 / 化学吸着 / 無電解メッキ / 非線形ラマン散乱 / ゆらぎ
研究概要

分子性ナノ結晶(アデニン:20x20x5nm^3)の近接場ラマンスペクトルにおいて特定のラマンバンドの強度、振動数が時間的に変動する、通常のラマン散乱あるいは表面増強ラマン散乱とは異なる非線形な現象を見出した。具体的には、無電解メッキ法によりチップ先端に銀コートした原子間力顕微鏡用カンチレバーをコンタクトモードで操作し、チップ先端をナノ結晶の一点に留めおき、10分間、スペクトルが変化する様子を連続的に観察した(観察波数領域:500〜1500cm^<-1>)。その結果、アデニン分子に帰属された多くのラマンバンドでそれらピーク強度が時間的に大きく変化していることを観察した。時系列的には、はじめ数個のピーク(728、1330cm^<-1>等)しか観察されなかったが(0〜50秒)、突然多くのピークが出現し(50〜80秒、250〜550秒)、そのほとんどが再び消失する(80〜250秒、550〜600秒)ことが繰り返して観察された。また、観察されたラマンバンドの多くで、ピーク振動数が最大で10cm^<-1>の幅で変動し、中にはピークが分裂する現象も観察することができた。これら現象は銀ナノチップ直下のアデニン分子の銀に対する吸着状態が熱ゆらぎなどの要因により時間変動しているためと考えられる。そこで、密度汎関数法を用いて入射電場に対する振動モードの解析を行い、実験結果と比較したところ、銀チップに化学的に吸着する分子の配向状態が近接場ラマンスペクトルに影響を与えることが示唆された。本手法を用いることで、ナノスケールで分子の識別を行えるだけではなく、分子の吸着状態をも高感度に観察できることが示された。また、金属チップ先端の金属原子と分子間の化学的吸着状態のダイナミクスを観察する手法を新たに考案し、観察システムの構築も行った。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2007 2006

すべて 雑誌論文 (6件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] Nano-analysis of crystalline properties of GaN thin-film using tip-enhanced Raman spectroscopy2007

    • 著者名/発表者名
      Ryota Matsui, Prabhat Verma, Taro Ichimura, Yasushi Inouye, Satoshi Kawata
    • 雑誌名

      Appl. Phys. Lett. 90

      ページ: 061906

  • [雑誌論文] Nanoscale Uniaxial Pressure Effect of a Carbon nanotube Bundle on Tip-Enhanced Near-Field Raman Spectra2006

    • 著者名/発表者名
      Taka-aki Yano, Yasushi Inouye, Satoshi Kawata
    • 雑誌名

      Nano Letters 6・6

      ページ: 1269-1273

  • [雑誌論文] Diameter-selective near-field Raman analysis and imaging of isolated carbon nanotube bundles2006

    • 著者名/発表者名
      T.Yano, P.Verma, S.Kawata, Y.Inouye
    • 雑誌名

      Appl. Phys. Lett. 88

      ページ: 093125

  • [雑誌論文] カーボンナノチューブの近接場ナノラマン分光分析2006

    • 著者名/発表者名
      矢野隆章, 井上康志
    • 雑誌名

      光化学 37

      ページ: 36-39

  • [雑誌論文] 近接場CARS顕微鏡によるDNA分子イメージング2006

    • 著者名/発表者名
      市村垂生, 井上康志, 河田 聡
    • 雑誌名

      レーザー研究 34

      ページ: 219-223

  • [雑誌論文] 非線形光学による生体分子イメージング2006

    • 著者名/発表者名
      藤田克昌, 井上康志
    • 雑誌名

      オプトロニクス 25

      ページ: 106-110

  • [図書] Advances in Nano-Optics and Nano-Photonics : Tip Enhancement ( Satoshi Kawata and Vladimir M. Shalaev (Eds.))2007

    • 著者名/発表者名
      Yasushi Inouye, Prabhat Verma, Taro Ichimura, Satoshi Kawata(分担執筆)
    • 総ページ数
      323
    • 出版者
      Elsevier B.V., The Netherlands
  • [図書] "Surface-enhanced Raman Scattering : Physics And Applications-Topics in Applied Physics," Katrin Kneipp (Martin Moskovits and Harald Kneipp (Eds.))2006

    • 著者名/発表者名
      Prabhat Verma, Yasushi Inouye, Satoshi Kawata(分担執筆)
    • 総ページ数
      464
    • 出版者
      Springer-Verlag Berlin Heidelberg

URL: 

公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi