研究概要 |
1.ゼオライトの一種であるモルデナイトに担持したPt触媒によって過剰水素中のCO選択酸化反応を行ったところ,前処理条件が触媒作用に強く影響することを見出した.すなわち773KでH_2あるいは,CO-H_2などで還元前処理を行った場合には低活性であるのに対し,反応ガス(H_2-CO-O_2)で前処理を行った場合には373Kで完全にCOを除去することができた.前処理後に測定したPt-L_3 EXAFSの結果,H_2およびCO-H_2で前処理を行った場合にはPtはそれぞれイオン状,凝集したPt粒子となっているのに対し,反応ガスで処理を行った場合にはPtクラスターが形成していた.このPtクラスターがPROX反応における高活性種であると考えられた. 2.H_3PO_4-WO_3-Nb_2O_5からなる三元系の酸化物触媒が液相でのフリーデル・クラフツ アルキル化反応に高活性を示し,かつ容易に再利用できることを見出した.様々なキャラクタリゼーション手法による検討から,Nbを含んだKeggin型のヘテロポリ酸が分解する過程で生成する中間体が活性種であることを明らかにした.本触媒は濾過・洗浄するだけで再利用が可能であった.この触媒が高い活性を示すには773Kでの焼成が重要であった。すなわち,673K以下で焼成した場合では活性種の溶出に伴い活性が低下し,823K以上ではWO_3が生成するため不活性であった.XRD, IR, XAFS,^<31>P NMRによる構造解析の結果,低温で生成したヘテロポリ酸が分解する過程における中間体が活性種であることが分かった.また吸着ピリジンのIRおよびNH_3 TPDの測定により,773Kでの焼成後では新たなブレンステッド酸点が生成しており,これが活性点であると考えられた.
|