研究課題
本研究は、有機複合結晶の反応に伴うナノレベルでの結晶形態変化と分子レベルでの構造変化との関係を明らかにし、新たな視点で構造制御と反応設計を行うことを目的としている。本年度はまず、反応の前と後で結晶構造がほとんど変わらない単結晶-単結晶反応から着手した。ジイソプロピルベンゾフェノンのカルボン酸誘導体と光学活性あるいは光学不活性なアミンから成るキラルな塩結晶のエナンチオ特異的な単結晶-単結晶光環化反応を既に数例見い出しており、この反応の進行に伴う結晶形態変化を原子間力顕微鏡で観察し、X線結晶構造解析による反応前後の分子構造の変化との関連性を調べた。その結果、まずバルク結晶については、最初平らであった表面は、光照射とともに数十ナノメータ程度の大きなうねりやしわが現れることが原子間力顕微鏡での観察により明らかとなった。またマイクロメータサイズの微結晶についても、バルク結晶と同程度の大きさのしわが光照射とともに現れ、反応が終結するともとの平らな面に戻ることがわかった。したがって、しわやうねりは結晶のごく表面近くでのみ形成されていると思われる。また、反応途中では結晶内で出発分子と生成物分子が共存しており、結晶中でのひずみが表面のしわとなって現れたものと考えられる。
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