研究課題/領域番号 |
17034056
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
水野 一彦 大阪府立大学, 工学研究科, 教授 (10109879)
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研究分担者 |
前多 肇 大阪府立大学, 工学研究科, 助手 (40295720)
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キーワード | 光環化付加反応 / 光反応 / 分子認識能 / 蛍光寿命 / ペリレン / 光酸素酸化反応 / 一重項酸素 / ケイ素官能基 |
研究概要 |
光励起状態における分子認識能を励起状態や基底状態で働く置換基間相互作用、固体表面への吸着・芳香環同士のπ-π相互作用、双極子-双極子相互作用、水素結合などによって制御し、高効率・高選択的な光化学反応や特異な性質をもつ光機能分子を開発することを目的として、長鎖アルキル基による自己組織化とケイ素官能基の特長を利用し、有機分子の吸収・蛍光特性の制御と高選択的な光化学反応の開発について検討し、以下の成果を得た。 (1)ペリレン誘導体の吸収・蛍光特性の制御を目的として、ペリレンの3位に置換基を導入することによる光物理的特性の変化について検討した。7種類の3置換ペリレン誘導体の吸収極大波長は無置換のペリレンに比べて長波長側にシフトし、B3LYP/6-31G(d)を基底関数として求めたHOMOとLUMOのエネルギー差とよい相関を示した。蛍光スペクトルも長波長側にシフトし、蛍光寿命は3.77-4.85nsであった。さらに、3-(1-アルキニル)ペリレンの光酸素化反応が一重項酸素を経由して進行することをはじめて明らかにした。(2)9-フェナントレンカルボン酸エステルとケイ皮酸エステルとの光反応において、アルキル基の長さが長くなるにつれて反応効率とトランス付加体/シス付加体の選択性がともに向上することを明らかにした。また、スメクチック相やコレステリック相での光反応では、反応効率が向上するとともにジアステレオ選択性が発現した。さらに、芳香環にケイ素官能基を導入すると励起三重項への項間交差が起こりにくくなり、光環化付加と光異性化の選択性が向上することを見出した。
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